インプラントにも寿命があるの?

インプラント治療という言葉を最近よく耳にする方も多いのではないでしょうか。インプラントとは、体内に埋め込まれる器具の総称であり歯科の医療目的として使われるのが「歯科用インプラント」という修復物です。
ここでは、インプラントの特徴や寿命、長持ちさせるポイントを解説します。
■ インプラントとは?
歯科用インプラントは、むし歯や歯周病などで歯を失った場合に用いられる治療方法です。
失った部分の歯を補うために選択できる自費の歯科治療で、自立しているため寿命も長く天然歯のように噛めるようになるのが期待できます。
歯科のインプラントは以下の構成でできています。
・人工歯(上部構造)
・支台部(アバットメント)
・人工歯根(インプラント体)
入れ歯や被せ物(ブリッジ)で補う方法とは異なり、インプラントは顎の骨に人工歯根を埋め込む手術を行います。
その後、顎の骨と人工歯根がしっかり結合したら支台部を製作して、最終的にはセラミックの人工歯を装着するため半年から1年くらい治療が続きます。
基本的にインプラントを選択する場合は保険が適用されず治療期間は長いのが特徴です。

■ インプラントの寿命
インプラント治療には費用や期間はかかりますが、寿命はメンテナンス次第では一生使用できるといわれています。
インプラントの10~15年の累積生存率は、上顎に埋め込んだ場合で約90%、下顎に埋め込んだ場合で94%とわかっています。
また、抜歯と同時にインプラントを埋め込んだり、骨移植を伴ったりしたケースでは87~92%と少し生存率は下がります。
(※参考 厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のための Q&A)
つまり、9割くらいの方は、インプラントを10~15年使用できていることになります。
インプラントの寿命は、顎の骨の状態やインプラントのメーカー、歯科医師の技術などにより左右することもあるので、しっかり歯科医院でカウンセリングなどを受けることが大切です。
■ インプラントを長持ちさせるポイント
インプラントは10~15年は問題なく機能していることがわかりましたが、じつはメンテナンス次第では一生使用することもできる修復物です。
「メンテナンスなんていらないのでは?」「インプラントは人工物だから、むし歯や歯周病にならない!」と安心する方もいらっしゃいますが、歯周病に似たインプラント周囲炎にかかることがあります。
インプラント周囲炎になると、インプラントを支えている顎の骨が溶けてしまい、最悪の場合には抜け落ちてしまうリスクが高まります。
このようなリスクを回避してインプラントを長く使用するためには、インプラント治療後も治療を受けた歯科医院で定期的に状態を診てもらうことが大切です。
また、インプラント周囲炎の原因は細菌とわかっているため、インプラントも天然歯と同様に毎日のセルフケアを怠らないようにしましょう。